ご挨拶

島内憲夫

第30回国際HPHカンファレンス日本組織委員会
委員長 島内 憲夫

日本HPHネットワーク特別顧問
順天堂大学名誉教授・医学博士
広島国際大学客員教授・ビューティ&ウエルネス専門職大学客員教授
日本ヘルスプロモーション学会名誉理事長

第30回国際HPHカンファレンス 開催趣旨

第30回国際HPHカンファレンスが、2024年11月6日~8日、広島国際会議場で開催されます。テーマは、「健康の公平性を目指して~医療機関と介護事業所の役割~」です。

国際HPHカンファレンスは、1993年に第1回が開催されて以来、病院を舞台としてヘルスプロモーションやヘルスサービスをめぐる様々な問題について議論を重ねてきました。

開催国は、オーストリア、スウェーデン、フランス、イタリア、フィンランドなどヨーロッパ地域が中心です。2022年10月開催予定の第29回国際HPHカンファレンス2022は、COVID-19のパンデミックとウクライナでの戦争のため、中止とすることを国際HPH運営理事会で決定しました。日本でもCOVID-19の感染流行は、緊急事態宣言の発出を余儀なくされました。医療と介護の現場では、感染リスクの不安を感じながらもスタッフは懸命に従事する一方、働く場を失い困窮状態に陥る人達や困窮のために医療にアクセスできない人が増加するなど、日本社会の綻びが可視化されました。

国際HPHカンファレンスは、アジア地域では、2012年の第20回の台湾に次いで日本で2度目の開催になります。日本では、2015年に日本HPHネットワークが組織され、今年で9年目を迎えます。私は、初代のCEOを務めましたが、昨年より千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門教授の近藤克則先生が務めています。公益社団法人福岡医療団理事長・千鳥橋病院予防医学科科長舟越光彦先生が日本コーディネーターを務めています。その他、特別顧問(ドン・ナットビーム:シドニー大学公衆衛生学教授)・顧問・運営委員・監事によって運営されています。

第30回のテーマは、「健康の公正性」です。WHOヘルスプロモーション用語集では、「健康の公正性とは、すべての人がその健康を完全に達成する公正な機会を持つべきであり、誰もその可能性の達成から不利な立場に置かれてはならないことを意味する。健康における不公正は、基本的に健康の社会的決定要因に影響される。健康の社会的決定要因に対処するためのアプローチとヘルスプロモーションにおけるアプローチは、健康の公正性と社会正義に一貫して持続的に焦点を当てている。ヘルスプロモーションの中核となる戦略は、健康のための資源を公正かつ公正に利用することにより、すべての人々が健康の潜在能力を十分に発揮できるようにすることである。」と認められています。

第30回国際HPHカンファレンスにおいて、誰もが公正で幸せを実感できる社会にするために医療機関と介護事業所が取り組むべき課題について真摯に議論したいと思います。

Think Globally, Act Locally!

地球サイズの愛をもって、今できることから始めよう!


2024年2月吉日

ご挨拶

近藤 克則

第30回国際HPHカンファレンス日本組織委員会
プログラム委員長 近藤 克則

日本HPHネットワーク CEO
千葉大学 予防医学センター 社会予防医学研究部門 教授
国立長寿医療研究センター研究所
老年学・社会科学研究センター 老年学評価研究部長(併任)
一般社団法人 日本老年学的評価研究機構 代表理事(併任)
日本福祉大学 客員教授(併任)

記念すべき第30回国際HPH(Health Promoting Hospitals and Health Services)カンファレンスが、日本で開催されることになりました。今回のように「健康格差(Inequalities in Health)」や「健康における公正(Health equity)」がテーマに取り上げられたのは、マンチェスターで開催された第18回国際カンファレンス(2010)で「Tackling Causes and Consequences of Inequalities in Health : Contributions of Health Services and the HPH Network」がテーマでした。当時、私は『健康格差社会』(2005)を出版したものの、国内では「健康日本21(第2次)」(2013-2023)で「健康格差の縮小」を目指すと掲げられる前で、どのように対策を進めるべきかを考える手がかりを求めていました。WHOの提唱によって組織された国際HPHネットワークがあることを知って、マンチェスターの会議に参加しました。日本から参加していた舟越先生(現日本HPHネットワーク・コーディネータ)と「いつか日本にもこんなネットワークを作りたいよね」と話したことが思い起こされます。その後、日本にもHPHネットワークが組織され、いまや世界で2番目に加盟病院・機関が多い国となり、今回、日本で国際カンファレンスが開催されることになりました。

今 Health Equityの重要性が問い直される事象が相次いで起きています。格差の拡大、貧困、高齢化、平和・災害・パンデミック・気候危機など、これらはいずれも、放置すれば社会的に弱い立場にある人達ほど健康を損ない、健康格差を拡大するものです。それに対し、HPHネットワークやWHOなど国際機関、そして今では日本政府も、健康格差の縮小を目指して対策を取るようになっています。健康格差対策には、ミクロ(臨床)レベルから、メゾ(病院・地域)レベル、マクロ(国・社会)レベルまで、重層的な取り組みが不可欠です。2010年から14年間のHPHによる取り組みを振り返り、どのようなことがなされ来た/いるのか、そして、今後どのような取り組みがなされるべきなのかを考えるプログラムを企画しています。

日本は、新型コロナ感染症による人口あたりの死亡者数を、英米に比べ5分の1以下に抑えるという成果をあげました。医療従事者の献身的な奮闘と共に、日本社会が持つ力・資源も寄与したと考えます。日本社会のヘルスプロモーティングな取り組みを世界に発信し、世界の取り組みに学ぶ貴重な機会となる国際カンファレンスです。ぜひ、1人でも多くの皆さんにご参加いただきたいと思います。


2024年2月吉日