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第24回HPH国際カンファレンス2016報告

日本HPHネットワーク コーディネーター 舟越光彦
公益社団法人福岡医療団理事長・千鳥橋病院予防医学科長

2016年6月8日~10日米国コネチカット州ニューヘイブンのエール大学において、第24回HPH国際カンファレンスが開催されました。参加者は35か国、500名、日本HPHネットワーク加盟事業所からは10事業所、18名が参加しました。また、カンファレンスに先だって6月6日~7日にはグリフィン病院でサマースクールが開催され、当ネットワークから1名が参加しました。

今回のメインテーマ

今回のカンファレンスのメインテーマは、「イノベーションとパートナーシップを通じた健康文化の創出」でした。このテーマ設定は、米国コネチカットHPHネットワークの中核メンバーであるNGOプレインツリーが、「患者中心の医療」をミッションにかかげ活動していることと深くかかわっているものと感じられました。このため、従来のカンファレンスと異なり、治療場面や医療スタッフと患者の関係性にフォーカスがあてられていた印象を受けました。カンファレンスの開会式では、現地を代表しプレインツリーCEOのスーザン・プラントン博士が歓迎の挨拶をしました。

プレナリーセッション

プレナリーセッション1:「イノベーションとパートナーシップで保健文化を創出する」では、WHOのニッティタ・プラソバープレジエ博士(患者の安全管理と質の向上マネジャー)が、WHOの視点から市民参加型のヘルスケアシステム注1について講演しました。講演の中で、世界は国民皆保険制度(UHC)へと広がりつつあるが、金銭的な保障だけでなく人間にとって安全で良質な医療を保障することが重要になっている。WHOは、縦型の供給重視の医療モデルから、人間や地域を重視した医療への転換、市民参加型のヘルスケアシステムに関する枠組み(IPCHS)を呼びかけているが紹介されました。

注1:市民参加型のヘルスケアシステム(people centered healthcare system)とは、患者中心の医療(person centered health care)も包括するより広いヘルスケアシステムの概念で、WHOが2016年総会で採択したもの。

グリフィン病院CEOのパトリックA・チャーメルは、グリフィン病院が人間中心の医療のモデルとされており、同様の医療モデルは現在19か国700カ所以上の医療機関で使用されている事を紹介しました。

プレナリーセッション2:「斬新なパートナーシップ政策を通じてヘルスプロモーション、医療提供体制を構築する」では、患者中心の健康アウトカム研究所(PCORI)の患者参加部長である シェリダン氏が発言しました。シェリダン氏は、医療制度の欠陥から被害者となった自身の息子のケースを紹介。 その経験を生かして、患者、研究者、規制当局、議員間のパートナーシップモデルを作り、ケアの基準に変化をもたらした実践を紹介しました。患者をパートナーとして関与させ、安全・質・結果を向上させる取り組みの重要性が強調されました。

プレナリーセッション4:「斬新なヘルスプロモーションのダイレクトなサービス」では、米国 ハーバード大学のアスウィタ・タン・マックグロリー博士が少数民族にみられる健康格差の実態とその対策の先進的な経験を紹介しました。 報告では、一部の少数民族は、心不全、肺炎、急性心筋梗塞などで入院した後の30日以内の再入院する確率が高い事が示されました。人種的、民族的に多様な患者の再入院に関する主要な問題と戦略の概要を示し、マイノリティーの再入院を減らすために病院が取り組むべき効果的な7つの戦略を紹介しました。日本でも多文化共生社会へと変化が進んでおり、参考となる視点でした。 オーラルセッションで、「日本HPHネットワークの結成と今後の活動」と題してJ-HPHとしての報告をしました。

J-HPHは、日本で先進的にヘルスプロモーション活動を取り組んできた病院の実践を継承し、発足したこと。加盟事業所は50(2016年6月現在)で、世界で5番目に大きなネットワークであること。病院だけでなく診療所、薬局、高齢者施設など多彩な事業所からなることを紹介しました。また、日本は世界一の超高齢社会であり、日本の高齢者に対するヘルスプロモーション活動の経験を世界に伝えることは我々の責任であることも強調しました。

国際ネットワーク総会

カンファレンスに先行して、6月8日には国際ネットワークの総会も開催されました。総会では、理事の選挙があり、7人の理事のうちアジアから台湾、韓国、香港の3人が選出され、国際ネットワークの中でのアジアの占める比重の大きさを反映していました。また、自己評価マニュアルの改訂作業の報告がありました。初版の発行から10年を経ており、今回の改訂では、最新のエビデンスにもとづき基準の見直しが図られています。また、本ツールの適用範囲は病院組織以外にも適用できるように開発が進んでいるということでした。次年度の国際カンファレンスについては、2017年4月12日~14日の期間で、オーストリアのウィーンで開催されることが決定されました。

自己評価マニュアルの改訂

初版の発行から10年を経てWHOで改訂がすすめられています。今回の改訂では、最新の科学文献など、基準が立脚するエビデンスが更新されます。また、本ツールの適用範囲を病院以外の組織にも広げていく予定です。すでに数か国の臨床医により改訂基準により試験運用が行われています。

オーラルセッション・ポスターセッション

日本HPHネットワークからは、15演題が採択されました。

【オーラルセッション】
  • ①日本HPHネットワークの結成と今後の活動/日本HPHネットワーク コーディネーター 舟越光彦
  • ②Health Promotion for minorities ”Free Heath check-up and counseling for Nepalese in Japan” /東葛病院
  • ③日本での母親への健康促進の取り組み/広島共立病院
  • ④日本の食習慣:健康に年を取る秘訣/広島共立病院
【ポスターセッション】
  • ①A Study of Colon cancer inpact by “Tomo”group in our hospital/耳原総合病院
  • ②薬局が取り組む健康情報の学習会は地域住民の健康意識を高める効果がある/大阪ファルマプラン あおぞら薬局
  • ③検診受診者のうち25歳以上の成人高血圧者・高血圧予備軍に対する介入効果/医療生協さいたま生活協同組合
  • ④2型糖尿病のコントロールにおける薬剤負担の割合の影響について/大阪ファルマプラン あおぞら薬局
  • ⑤新人看護師の間で腰痛を減らす/広島共立病院
  • ⑥職員の足指力の実態と足指力低下が及ぼす影響/東京健生病院
  • ⑦マイカルテモニター員としての活動(患者が医療記録を監査し医療者にフィードバック)は、患者のヘルスリテラシーと病院のヘルスプロモーションを相互的に高める/医療生協さいたま生活協同組合
  • ⑧地域丸ごと健康に!「小学校における禁煙教室で見えてきたもの」/西淀病院
  • ⑨若年妊婦からみえる貧困~医療ソーシャルワーカーの視点から/千鳥橋病院

第25回国際カンファレンス 2017年

開催地
オーストリア・ウィーン ウィーン大学
開催期間
2017年4月12日~14日
メインテーマ
危機の時代におけるヘルスプロモーション活動

概  要:ウィーンでの開催は、1997年に続いて2回目です。HPHのモデルが初めて実践されたのがウィーンの病院であり、25周年の記念のカンファレンスとして相応しい都市での開催となります。危機の時代という時代認識は、難民や、移民、高齢者など社会的に脆弱な立場に置かれた人たちの世界的な増加と、地球温暖化や自然災害の多発といった自然現象の変化が、人類の健康にとって危機的な悪影響を与えているということを指しています。こうした危機の時代に合って、ヘルスプロモーション活動が社会にどのような貢献ができるのかが議論されます。

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