黒松内町国保 くろまつないブナの森診療所
国保診療所の指定管理から10年
北海道・黒松内町にある「黒松内町国保くろまつないブナの森診療所」は、町が開設者の国保診療所を北海道勤医協が指定管理者として運営している診療所です。
2016年4月の指定管理開始から10年の契約満期の節目を迎え、2026年4月から二期目の5年間が始まりました。
黒松内町は北海道・渡島(おしま)半島の付け根に位置する人口約2,300人のまちです。札幌市と函館市の中間に位置し、どちらも車で2時間半程度の距離にあります。主要産業は酪農や農業で、特産品のチーズ、ウインナー、それを使った道の駅の焼きたてピザが名物です。
また、国の天然記念物に指定されているブナ林を有する“ブナ北限の里”でもあり、「日本で最も美しい村連合」にも加盟しています。
そんな自然豊かな黒松内町は、介護・福祉施設が豊富で、就労人口の約4割が医療福祉関係者という、日本で最も健康な町を目指す“福祉のまち”でもあります。
かつて町内には、国保病院と勤医協の診療所の二つがありました。双方の病院での医師不足、職員不足や、建物の老朽化、財政赤字などがあり、町が民間委託・指定管理者制度の導入を検討。数年間議論を重ね、1951年に開設された勤医協黒松内診療所を閉院し、1952年から続いてきた国保病院を、2016年に19床の国保診療所として統合、一本化し、再出発しました。
診療所の条例には、「先人が育ててきたまちの医療を受け継ぎ発展させるため、指定管理者制度を取り入れ、保健・医療・介護、施設・在宅が一体的に提供される、真に町民のための「地域包括ケア」をめざす。
この取り組みは、地域医療を志す医療集団の先進地となり、日本各地で起きているへき地医療の行き詰まりを打ち破るモデルにもなると確信する。町民と協力協同し町と北海道勤医協は、最適な関係を築き上げ、「日本で最も健康な町」を目指すためこの条例を制定する。」と定められています。
さらに、2019年11月には現在の場所に新築移転しました。職員体制は、医師3名をはじめ約40名の職員が「チーム黒松内」として活動しています。町内唯一の医療機関として、24時間365日救急受け入れを行っており、年間約80台の救急搬送、多岐にわたる疾患や予防接種などに対応しています。
また、経営面では、主な入院経路である町内施設との連携を強化することで入院数を底上げし、多数の施設患者への訪問診療管理や、各施設との定期的な打ち合わせなど、顔の見える関係づくりに力を入れています。
また、初期研修医の外来研修や地域医療研修を大学病院を含む複数の研修病院から受け、総合診療・家庭医療の後期研修、各職種の研修も積極的に受け入れています。
2026年、診療所はHPHへ加盟しました。具体的な活動として、役場職員や町内他施設のスタッフと共同で開催する「健康まつり」や、町の教育委員会と連携した「夏休みこども病院探検」、消防との学習会、ブナ林を活かした健康づくりの取り組みである「森林療法プロジェクト」への参加など、行政や他施設との垣根を超えた仕組みづくりが、すでに行っている実践として当てはまります。
また、町内唯一のスーパーでは、カロリーが低いアイスキャンディに「尾形所長おすすめ」と掲示してもらったり(よく売り切れています)、院内の自動販売機の一部を無糖の炭酸飲料に入れ替えてもらう、など、所長の声掛けで健康づくりの具体化が進められています。
日常的に顔が見える関係を築くことが、結果としてまちづくり、町のヘルスプロモーションに結びついています。この考えを今後の活動で広めていきたいと思います。
地域医療とは、「地域に住み、地域の要求を知り、患者さんの生活背景や患者さんから学ぶ医療」であると考えます。指定管理開始からの10年で築いた土台を大切にしつつ、これからの5年間も、行政・他施設・地域の皆さんと協力し合い、協定文書にある「日本で最も健康な町」を目指して、一歩ずつ積み重ねていきたいと思います。
報告:齋藤 久美子氏(黒松内町国保 くろまつないブナの森診療所 事務長)
1750-0161 黒松内町国保
くろまつないブナの森診療所
NEWSLETTER No.33 SEP.2026





