社会医療法人 健生会 吉田病院
健康で働き続けるために―企業における『働くひとびとのための運動教室』の取組について―
立ち止まって考えたきっかけ
「あれ?」と気づいたきっかけは、友の会メンバーの高齢化でした。これまでは「65歳で定年を迎えた元気な高齢者が地域に出てきて、友の会に入会し、生きがいづくりをしながら健康を維持する」というストーリーが一般的でしたが、高齢者が地域で活動を始める年齢は70歳、75歳へと上がってきています。
発想の転換
これからの時代は「65歳になっても元気な高齢者は企業で働き続ける」と考え、調べてみると「働く人の高齢化に伴う労働災害の増加」が社会問題になっていることを知りました。転倒や転落、腰痛など、加齢による身体機能の低下が原因の労働災害が増えているのです。働く人が自身の体力を過信し、若いころの感覚で激しい運動や重労働を行うと、関節や筋肉への負担が大きくなり、深刻な事故につながります。
そして「まだ動ける」と限界まで頑張ってしまうと回復にも時間がかかり、長期の療養が必要になることもあります。
こうした困難を抱える方が、働く人々の中にもいるのではないかと思い、企業に出向いてシニア世代が元気に働き続けられるように支援したいと思うようになりました。
新しい取り組み
まず2025年に「働くひとびとのための運動教室」を立ち上げました。次に当院職員で運動教室プログラムを構築しました。
その後外部企業様のご協力を得てモデル事業を実施しました。モデル事業参加者からは「思ったよりも筋力が衰えていることを実感した」「すきま時間にストレッチをするようになった」「階段の上り下りがスムーズになった」「知らない人と話す機会になった」「脳トレ運動は初めてだったが楽しかった」といった声をいただきました。
また教室の前後には厚労省推奨の「転倒等リスク評価セルフチェック票」を用いて歩行能力、敏捷性、バランス能力を計測しました。評価ポイントが上昇した人は7名、維持した人は5名、低下した人は1名でした。平均では1.1ポイント上昇していました。
これらの結果から、労災予防に貢献するプログラムになったと感じています。モデル事業実施後の2026年2月には、厚生労働省より「高年齢者の労働災害防止のための指針」が公示され、4月1日より高年齢労働者の安全確保対策が企業の「努力義務」となりました。企業は同指針に基づき、身体機能の低下を考慮した職場環境の改善など5つの主要な対策を講じることが求められています。
困っている人のもとに足を運ぶことの大切さ
現在は、「困っている人がいれば、そこに出向いて耳を傾け支援する」という民医連の心を大切にしながら、企業の健康管理担当者からお話を伺っています。担当者の方々は、休職や離職、心の問題、ハラスメントの悩みなど、さまざまな課題を語ってくださいます。
これからも一つひとつの悩みに寄り添い、ともに考えながら、私たちにできる支援をサービスとして届けていきたいと思います。
報告:小林 由美氏(社会医療法人 健生会吉田病院 健康管理室 保健師)
11750-0012 社会医療法人 健生会吉田病院
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No.33 SEP.2026





